三蔵法師紀行
ブッダガヤ
ブッダガヤ(Budd-gaya):インド北東部、ビハール州の宗教都市ガヤーの南方11Kmに位置する仏教遺跡。
サルナート(Sarnath):インドのウッタル・プラデーシュ州にあり、ヴァナラシの北方10Kmに位置する、仏教遺跡。鹿が多くいたことから鹿野苑(ろくやおん)とも称される。
玄奘の目的地はナーランダで、かつてハルシャヴァルダナ王に勧められた、シーラバードラ師の元で学ぶことでしたが、その前にぜひ、お釈迦様がお悟りを開かれた地であるブッダガヤを訪れたいと思いました。
途中ヴァナラシという活気のある町を通りました。ここは今日でもヒンズー教最大の聖地として、各地からたくさんの巡礼者がガンジス河で沐浴するために訪れています。
続いてここからすぐ北にあるサルナート(鹿野苑)に向かいました。ここはお釈迦様が初めて説法した所です。当時、サルナートは宗教家が集まる聖地であったので、悟りを開いたお釈迦様はそれを皆に伝えようとしたのです。
そして、秋10月、玄奘はマンゴーの森の中にそびえ立つ大塔を見つけます。ブッダガヤに着いたのでした。大塔の後ろには菩提樹があります。この菩提樹は現在に至るまでも数度にわたり、心なき人により伐採されては植え直されてきたのですが、玄奘が訪れたときは15m程の高さであったと記されています。

案内の僧が言いました。「この観音像がすっかり隠れてしまうとき、仏法は滅びるという言い伝えがあります。」
玄奘は、それを聞き流すことができませんでした。今まで歩いてきた地で、確かに仏教の衰退を実感していたからです。
玄奘はますます学問に励み、お釈迦様の教えを広めようと改めて固く決心します。この決意を胸に、ナーランダに向けて出発したのでした。
ブッダガヤは今日、仏教徒の聖地として、多くの人が集います。50mの高さの大塔は、最初アショーカ王によって小規模な塔が建てられ、その後、幾度も修復が重ねられました。現在の大塔は、玄奘が見たのと同じ形であると言われています。(写真左:2007年2月撮影)