筆録
 
2006年
 
4月6日(木)
華の由来 … 桜 …
桜は日本、中国、ヒマラヤを中心に約30種が自生していますが、とりわけ日本が一番多く、国の花であるのもうなずくことができます。奈良時代は花といえば梅でしたが、平安初期から桜が取って代わりました。日本産の桜の原種でよく知られているのは、彼岸桜、大島桜、山桜などで、古歌に詠まれているのはこの中の山桜です。山桜には紅山桜(べにやまざくら)と白山桜(しろやまざくら)があり、桜の名所として名高い吉野山の桜は白山桜です。古く室町時代からこれらの原種を交配して園芸品種がつくられてきましたが、現在最も多い染井吉野は江戸末期に染井村(現:東京都豊島区巣鴨)の植木屋さんが交配したもので、毎年発表される桜の開花前線も、この染井吉野を開花の基準にしています。
桜を生けるときは、本来広く自生していた花なので、自然の枝ぶりを生かし、あまり切り落とさないようにします。また桜は地上に近い方から開花していくので、下の方は開花したのも、上に行くに従って蕾の多いものをいけますが、三・四分咲きは殊に美しいので、多めに用いるとよいでしょう。梅とちがい華やいだ雰囲気が持ち味なので、枝数を多く用いて日本的な花を取りあわせれば伝統的な美しさ、ストックやスイトピーなど洋風の花を取りあわせれば新鮮な趣となります。しだれ桜は、掛け花や釣り花にするとよく、花瓶に生けるときは丈高く(たけたかく)生けて、枝先が床すれすれにならないように気をつけましょう。

 
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