被爆61年目の夏、8月6日。今年も広島市中区の平和記念公園で、「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」が、開催されました。核の廃絶と平和を願う広島市民の声を、世界政治のリーダーたちは無視し続けています。かつて、市会議員として尾道市の行政に携わり、また現在は済法寺評議員として活躍されている島本実夫氏(広島県尾道市 89歳)のコラムが、2006年3月16日 木曜日に朝日新聞「声」の欄に掲載されました。ここに改めてその全文を抜粋し、私達は何をなすべきなのかを心に刻みたく存じます。
戦争を知らない政治家たちよ (済法寺評議員 島 本 実 夫 89歳)
安倍官房長官が「侵略戦争をどう定義づけるか、学問的にまだ確定しているとは言えない」と国会で答弁したことに、私と同年の従軍経験者が10日の声で「常識に反するしらけた答弁」と指摘された。同感する。
私は昭和14年に招集されて中国・青島(チンタオ)へ。同年起きたノモンハン事件で日本軍は大敗。輜重兵(しちょうへい:旧陸軍の兵種の一。軍需品の補給、陸上輸送に当たった。)の私は直後に旧満州(中国東北部)チチハルの野戦病院勤務となった。事件での大勢の死傷者が収容された。医療物資を運び、戦死者を葬った。その後は仏領(フランス領)インドシナ、上海(シャンハイ)などを転戦した。
「戦争を知らない子ども達」という歌があったが、私は「戦争を知らない現代の政治家たちよ」と言いたい。次期総理候補といわれながらそのような答弁をする安倍氏ら自民党の政治家たちに対し、先日の投稿者ならずとも幻滅を感じる人は多いと思う。
イラク派遣の陸上自衛隊員3人が帰国後、自殺したとの報道もあった。政治家たちは戦争というものについて何と考えているのか。
国民のレベルに見合った政治家しか与えられないというが、戦争経験者の我々、老いたりといえども奮起しよう。憲法9条を守る政治家を多く選ぶために。