筆録
 
2007年
 
10月25日
地球がもし65億分の1個の「小さな星」だったら・・・・・・
「あと10年で地球を救う12の考え方」(洋泉社)より抜粋


私達は奇跡のような10年に立ち会っている。
世界を代表する科学者達が話すように、この10年のあり方いかんで地球が灼熱の星と化してしまうなら、600〜700万年前、天を目指してすっくと立ち上がり、よりよい世界を夢見て歩いてきた人類の歴史上、これほどの重みを持つ10年はないからだ。
成長し、栄えることがごく自然な営みであることは、芽生え、繁茂していく植物を見ればわかる。人間の場合、それが「消費」を通して測られるようになったのはなぜだろう?
着る、食べる、住む-。生きるために消費は必要だ。しかし、過剰になった「消費主義」が地球上のすべての地域に達し、温暖化と死をもたらそうとしている。
少しだけ想像力を働かせると、現実が見えてくる。地球は果てしなく巨大な惑星のように思えるが、今、地球上に生きているすべての人が地球資源を等しく分け与えられ、65億分の1の「小さな地球」の上に一人でいるとしたら-。
その地球の表面積は85000平方メートルで半径82メートル。70%が塩水で満たされていて、その海が総て凍ったら、10分もあればひとまわりできる大きさだ。
「小さな地球」は交換することができないし、新しい「小さな地球」へ旅立つこともできない。
そこでは、1年に1トンを少し超える量の化石燃料が燃やされていて、4トンの二酸化炭素を排出し、その半分が大気の中に残っていく。
再生速度を25%超えて資源を食いつぶしている状態で、食べ物と水がなくなりつつある。
気温がじょじょに上昇し、灼熱の星へと加速度的に向かう「転換点」の一歩手前。ことの重大さに気づいたところだ。
そのとき(つまり"今"だ)、あなたはどんな行動をとるだろうか?「小さな地球」とどう向き合うだろうか? このまま狂ったように化石燃料を燃やし続けるだろうか?
金星がひとつの未来だ。地球と金星の違いは、炭素の多くが地中の中で眠っている(地球)か、炭素の多くが大気の中にある(金星)かにある。地球の平均気温は15℃だが、金星の平均気温250℃だ。
しかし、たとえ金星のような星になっても、この星は何ごともなかったように軌道上をめぐり続けるだろう。いっとき地球を支配した恐竜が、小惑星の激突によって滅び、地球そのものも灼熱の星と化したあと、再び美しい星へと再生したように、時にすべてを委ねるだけだ。
つまり、救わなければならないのは「地球」そのものではなく、私たち自身、そして、地球上に居合わせている動物や植物が生存していくための「地球」だ。
私たちは、太陽の光と水、二酸化炭素を使いながらすくすくと成長し、最後は土へと還っていく植物のように、自然と調和しながら繁茂し、次世代へとつながっていく存在になれるか? それとも、灼熱の星の上で焼き尽くされるのか?
その答えが、この「奇跡のような10年」にめぐり合わせた一人ひとりの「小さな地球」にかかっているとしら-。
 
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